アクエリオンの薦め

エヴァの影でひっそり劇場版が公開されるロボットアニメがある。
アクエリオンである。
2005年に放送されたTVシリーズは、作品の規模としては一部でカルトな人気を呼んだ異色作と言う程度の存在であり、数年後に劇場公開されるのは不自然に感じられる。
言ってしまえば、今回の劇場版はSANKYOマネーのおかげで俄かに公開される運びとなったように見えてしまうし、ファンとしては、大丈夫なのかな?と不安にならざるを得ない部分もある。元々カルト的な作品なのであまり大ヒットは狙っていないとは言え、せっかくの劇場公開なのでなるべく多くの人に見て欲しいところである。

また、作品規模に不釣合いな頻度で放送されている強烈なテレビCMで初めて作品の存在を知り、興味を持った方も中にはいらっしゃるかもしれない。
http://gattai.jp/pc/index.html

そこで、TV放送時、アクエリオンが大好きだった私がお勧め回をピックアップしてご紹介しようと思う。
簡単に説明しておくと、アクエリオンは合体ロボットアニメであるが、ギャグアニメとしての側面がファンに愛されている部分である。しかし、それはただのギャグではない。
本作は、物事を極限まで突き詰めていくとギャグになってしまうということを、わかった上で意識的に実践した作品と言えるだろう。単に受けを狙ったギャグではなく、物事を真面目に突き詰めていくことで、シリアスなフェーズの上にあるギャグの境地にまで達しているのだ。

似たような内容ばかりでかわりばえのしない「普通のアニメ」に食傷気味の方には特にお勧めしたい。

全26話中、お勧めの7話を紹介するが、これは話をダイジェストで把握することよりも、面白い回を楽しむためのセレクションであることをお断りしておく。

最初にお勧め話数を並べておく。

第1話「天翅の記憶」
第4話「はだしの戦士」
第6話「想い彼方へ」
第17話「食べたくて合体」
第18話「魂のコスプレイヤー
第19話「けがれなき悪戯」
第26話「世界のはじまりの日」

第1話
キャラクター・設定を最低限把握できてその後の話数を楽しめるし、映像面でも見所が多い。

第4話
アクエリオンと言う作品がその真の姿を表し始める話数。

第6話
一部で話題を呼んだ荒唐無稽な必殺技が初登場する。

第17話
河森監督の前作アルジュナを髣髴とさせる食物をテーマとした話数。

第18話
本筋の合間のお遊びの回と思わせて、事実その通りでありながらシリーズ全体のテーマが語られる最も重要な話数でもある。必殺技のインパクトもシリーズ最高水準であり、必見。
キャラクターを把握していることが前提の内容なので一見さんには厳しいが、シリーズ全話数から1話だけ選ぶとしたらこの話数かもしれない。

第19話
アニメーターうつのみやさとるによる異色の作画でファンの不評を買い、公式ブログのコメント欄に批判的なコメントが殺到した曰く付きの話数。

第26話
最終話。作品の真骨頂とも言えるラストは必見。


ストーリーに興味がある方は、2話、12話、13話、21話〜25話あたりも見ても良いかもしれない。

また、上記話数を見て面白い回がもっと見たくなった人は、他の中盤の話数も見てみると良いだろう。


アクエリオン、そして不遇の傑作ノエインを制作後、失速しているように感じられたサテライトだが、マクロスの新シリーズが控えているので今後は勢いを取り戻すだろう。まさにSANKYO様様であるが、そろそろ内容面での傑作だけでなく、商業的な大ヒット作を自力でものにしてほしいところである。